前回のスーパーボール気体を重さのない袋にゆるく入れて、角柱の内側に重ねて入れます。それぞれの袋の高さが Δz になるよう空気の量を調整します。ここまでは、ランダウ本と一緒です。
ランダウ本と違うところは、袋内部の気体の温度や圧力をきちんと計算します。
袋 z (高度の範囲は [z,z+Δz] )を考えます。袋内にはスーパーボール窒素分子が入っています。袋内で分子は垂直方向のみ移動する1次元気体とします。分子同士の衝突はありません。分子は重力で減速・加速します。ここで、分子の速度は、すべて同じと仮定します。この仮定は理想気体と違うヨ！
計算手順はこうです。まず、袋の上面、下面に当たる分子の運動量から、上下面の圧力差を計算します。1次元で温度も計算します。このとき、袋 z 内の分子は袋内で往復します。
次に、一つ上の袋 z+Δz (高度の範囲は [z+Δz,z+2Δz] )を考えます。面 z+Δz では、この下の袋zと接触しているので、圧力と温度が一致します。圧力が一致するように、袋 z と袋 z+Δz とで分子の数が少し変わります。
この手法で計算すると、分子の数密度はスーパーボールモデルと完全に一致します。ランダウ本のような、上に乗った空気の合計質量は全く出てきません。上に乗った空気の質量は次回計算。
現実の空気はどういうモデルで説明できるのでしょうか。
続くかも。
前回：[重力と気体の熱力学]スーパーボールモデル #mixi_diary 早咲の日記 2019/02/28/1970558533
次回：[重力と気体の熱力学]重力下の理想スーパーボール気体---袋詰めを重ねたモデルの圧力 #mixi_diary 早咲の日記 2019/04/17/1971164415
参考：小野周・豊田博慈 訳(1969). 『ランダウ・アヒエゼール・リフシッツ 物理学 力学から物性論まで』岩波書店
====2020-12-01 12:05
分子の速度がすべて同じなのはスーパーボール気体の仮定。
理想気体は後出：[重力と気体の熱力学]重力下の理想気体---Maxwellの速度分布 #mixi_diary 早咲の日記 2019/05/13/1971506018
