魔女の小さな冒険

魔女のちいさな探検

ゆっくりゆっくり進みます。

重力下の理想スーパーボール気体−−−袋詰めを重ねたモデルの圧力

 前回の再考察です。
 前回、スーパーボール気体を質量のない袋にゆるく入れて、角柱の内側に重ねて入れました。

 前回のモデルはこうでした。袋 z を考えます。袋内には一定数 n(z)Δz 個のスーパーボール気体分子が入っています。袋内で分子は垂直方向のみ運動する1次元気体です。各分子は温度に該当する一定の初速度を持ち、重力 mg で減速・加速します。

 丁寧に計算した結果は、しきりのないスーパーボール気体と完全に一致しました。スーパーボール気体では、『ランダウ本のような、上に乗った空気の質量は全く出てきません。』とか考察してました。
 でも、よく考えたら、スーパーボールが地面の上を跳ねているとき、地面の受けている力積の時間平均は、スーパーボールの重さ mg と同じです。袋の中の上下の圧力差も、中の気体分子の重さに一致するのでは?

 そこで、垂直方向の一次元スーパーボール気体でもう一度計算してみました。すると想像通り、袋の上下面の圧力差は、袋内の分子の重さ -mgn(z)Δz に一致しました。

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 次は、3次元運動をする理想気体を考えます。
 まず、水平方向にのみ運動する分子です。袋の底を水平に滑っている分子は、分子の重さ全部を袋の底にかけているのだから、上下面の圧力も分子の重さ mg だけ変化しているはずです。

 袋の中ほどを水平運動している分子は、無重力では水平運動で往復を続けますが、重力下ではすぐに落ちます。(落ちることに気付くのに何日もかかりました(^^; ) 垂直方向には放物運動をして、袋の下の面に重さと同じ圧力mgをかけます。
 全分子を合わせると、袋の底にかかる圧力は、気体の温度の圧力に加えて、袋の中の全分子の重さ -mgn(z)Δz と同じになります。

 圧力に関しては、理想気体でもランダウ本の通り、上に乗っている分子の重さが圧力になっていました!

 上空に高密度領域が残ったままではありますが(^^; 普通の気体なら、対流を起こして高密度の空気がごっそり落ちて来るはずです。普通の気体らしく分子の衝突を考えたら、上空の密度は小さくなるのでしょうか(計算は次々回)。地表で想定した雑な速度分布も気になるところです(^^;(計算は次回。)

前回:[重力と気体の熱力学]スーパーボールモデル #mixi_diary 早咲の日記 2019/02/28/1970558533

次回:[重力と気体の熱力学]重力下の理想気体---マクスウェルの速度分布 #mixi_diary 早咲の日記 2019/05/13/1971506018

参考:小野周・豊田博慈 訳(1969). 『ランダウ・アヒエゼール・リフシッツ 物理学 力学から物性論まで』岩波書店