魔女の小さな冒険

魔女のちいさな探検

ゆっくりゆっくり進みます。

天然雪の落下速度

 天然雪の落下速度を見つけました!

 中谷宇吉郎著「雪」岩波文庫 (1994年10月17日第1刷) p.121 第34図

 平面樹枝型の直径1.5粍(みり)〜5粍の落下速度は、1秒間に30糎(せんち)位と書いてあります。(文章変えてあります。)荒木健太郎先生の本の図より、ちょっと大きな結晶まで測ったようです。測り方は、円筒型の装置を雪の中に設置して、無風状態で2米落下する時間をストップウオッチで計ります。ストップウオッチ!私の実験と同じです(^-^)

 質量も量っています。p.123図によれば、平面樹枝状結晶の平均質量は0.043瓱(みりぐらむ)、平均速度は31糎/秒となっています。重さは大きいのも小さいのも混ざって平均してしまっていますが、プロットを見ると3粍くらいにデータが集中しているので、3粍の重さが0.043瓱、結晶の厚みは、円盤だったら0.006mm、面積率50%の細い枝の樹枝状だったら0.012mmですね。薄いです!
 以前の日記では、

   2017年10月16日 [雪がくるくる回る?実験]雪の結晶のサイズ
   早咲の日記 2017/10/16/1963176023
    直径:2〜3mm
    厚さ:0.02mm前後

となっていたので、扇状や広幅六花よりは細い樹枝状とすれば話が合います。(北海道の雪が新潟と同じか、とか、測定法が違うので融けるときに蒸発したのでは、とか、余計なことを考えなければ。)

 拾い読みしましたが、この本はちゃんと見るべき本ですね。


 ところで、なぜ拾い読みをしたかというと、中谷ダイヤグラムで、角柱型の条件で、ずっと放置する実験があったのですね。これが、何時間やったのかと言うところが気になったからなのですが、ちょっと見つかりませんでした。違う本だったかも。小林先生の本だったかな?

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追記

p.83〜
螺旋軌道の記録。-15℃です。
> 白樺の老樹の細かい枝が樹氷につつまれて空一面に交錯している間に、僅かばかりの空所があって、その間を静かに降って来る雪の結晶は、予期以上に繊細巧緻を極めた構造のものであった。夜になって風がなく気温が零下十五度(-15℃)位になった時に静かに降り出す雪は特に美しかった。真暗なヴェランダに出て懐中電燈を空に向けて見ると、底なしの暗い空の奥から、数知れぬ白い粉が後から後からと無限に続いて落ちて来る。それが大体きまった大きさの螺旋形を描えがきながら舞って来るのである。そして大部分のものはキラキラと電燈の光に輝いて、結晶面の完全な発達を知らせてくれる。標高は千百米(1100m)位に過ぎないが、北海道の奥地遠く人煙を離れた十勝岳の中腹では、風のない夜は全くの沈黙と暗黒の世界である。その闇の中を頭上だけ一部分懐中電燈の光で区切って、その中を何時いつまでも舞い落ちて来る雪を仰いでいると、いつの間にか自分の身体が静かに空へ浮き上って行くような錯覚が起きて来る。

こちらと、文章が一緒です。

2017年09月01日
[雪がくるくる回る?実験]中谷宇吉郎の雪雑記
早咲の日記 2017/09/01/1962389504