魔女の小さな冒険

魔女のちいさな探検

ゆっくりゆっくり進みます。

雪の結晶の螺旋周期を推定

 雪の結晶の螺旋周期を、プラバンを沈める実験から推定します。
 第32回で測った直径L=24mmプラバンはレイノルズ数Rn=280、1回の旋回でΔz=40mm沈みました。雪の結晶で、同じレイノルズ数になるのは中谷宇吉郎の『雪』によれば、気温T=-10℃としたときの、L=6mmの立体樹枝結晶。落下速度はV=0.6m/sです。落下軌道を直径と同じ比率で縮小すると、1旋回あたりの落下距離はΔz=10mm、秒速60旋回です。

 秒速60旋回とは。
 カメラの動画撮影は多分テレビと同じ24枚/秒で、全く写りません。そもそも秒速60回が目で見える人は、新品の蛍光灯がチカチカして見えたり、テレビも余裕でコマ送りに見える超人です。凡人は、秒速60旋回の雪を見たら、螺旋かどうかなど判別できるはずもなく、残像でモヤっと大きく見えるでしょう。


 では、『雪』のデータにはありませんでしたが、L=12mmの樹枝状結晶(V=0.3m/s)を考えてみます。Δz=20mm、秒速15旋回です。これなら大きさもタンポポの綿毛位なので、旋回している軌道が何とか見えそうです。

 ところで、プラバンの実験では、角板状のものは旋回しましたが、樹枝状のものは大きくても真っ直ぐ沈みました。この程度のサイズの雪の樹枝状結晶は、タンポポの綿毛のように全く回らない可能性もあります。ただ、手作りの星状六花は、ゆらゆらすることもありました。雪と綿毛では、違う可能性もあります。

 次に、ゆらゆらの場合について、ΔzとLの比をRnごとに比較します。ゆらゆらは、真っ直ぐ落下から螺旋軌道の落下に移行する途中のRnで見られますが、このサイズの6角板は手作業で、きれいな6回対称ではないかもしれません。円よりも長方形に近いために、螺旋軌道は取らないという可能性もあります。
 図にしてみると、意味ありげなプロットが出来上がりました!まず、ゆらゆらと螺旋軌道で、L/Δz比が同じです。ゆらゆらのL/Δz比から螺旋軌道の旋回周期を推測できそうです。
 更に、Rnが小さい領域では、ゆらゆらしつつまっすぐも沈む、複合の動きをしていそうです。
 同じRnでも、ゆらゆらしない場合とする場合のある形もありました。Rnで分類する方法はよろしくないのかしら。温水のほうがゆらゆらしやすいように見えますが、冷水で水槽実験をしていないので、システムサイズの影響なのか温度の影響なのか、わかりません。

 さて、レイノルズ数が青の12mm角板では、Rn=160、Δz/L=2.4です。これを樹枝状六花に当てはめると、L=7mm、V=0.3m/s、Δz=16mm、秒速18旋回です。旋回が少し速くなってしまいましたが、結晶サイズは現実的になってきました。

 一人で盛り上がってきたところで、今回はここまでです(^-^)
==== 2018-06-08 12:37
本当に目で見えるのかなと、gifにしてみたのですが、PCでは高速表示できないようです。