魔女の小さな冒険

魔女のちいさな探検

ゆっくりゆっくり進みます。

物理の価値観

 私が高校生のとき、大学公開で、原子核実験の研究棟を見学しました。その時、
「この研究は、将来どんな役に立つのですか?」
と質問したら、
「役に立たない!おもしろいからやっている。」
と、堂々と役立たず宣言をしていました。
 そこで、物理はおもしろいものが価値があるのだなと理解しました。学問ってやつですな(^-^)

 それから、大学入って勉強していて、何がおもしろいかなと常に意識していた気がします。物理は、現象のメカニズムが分かるって言う話がおもしろいと思いました。いい先生がいっぱいいましたが、特に、電磁気学青木保夫先生が熱くておもしろかったです。良い理論は、同じ数式で、いろんなメカニズムが説明できちゃう。空が青い理由から、電子レンジまで(^-^) 
 そんな流れで、同じカテゴリーでも、統計力学は好きで、熱力学は気持ち悪いと感じるようになりました(^^;

 その後、パターン形成という分野で、雪の結晶を扱っていることを知って、パターン形成を勉強したいなと思うわけです。ところが、パターン形成系の数理は、本(もと)のメカニズムに関係なく、同じ絵が出て来るのです。これはおもしろいと取ればおもしろいし、気持ち悪いと取れば気持ち悪いです!
 ある日、ボスのO教授が、学生を集めて、プリントを見せながら研究室の紹介をしてくれました。こんなシミュレーションもやっている、あんなシミュレーションもやっていると、次々にパターン形成の結果を見せてくれました。最後に、私が
「これは、どこがおもしろいのですか?」
と聞きました。お馬鹿な学生!と失笑を買うとか、何でわからんのだ!と怒られちゃうとかは予想していましたが、先生は驚いておたおたしていました。私もキョトン。

 結局、この研究室では、先生とコミュニケーションを取るにはどうしたら良いか、がテーマで、自分はどうしたいのか忘れてしまいました(T_T)

 実はこの先生は、若い頃にパターン形成の物理に新しい視点をもたらすような、画期的な理論を作っているのです。想像ですが、あんな理論を作った頃が『おもしろい』の基準で、シミュレーションのコレクションは、理想の研究人生とは違ったのかもしれません。
 最後までコミュニケーションを取れなかった私の想像ですから、外れてそうですけれどね(^^;