魔女の小さな冒険

魔女のちいさな探検

ゆっくりゆっくり進みます。

毛管長?

 微分幾何学は諦めて保留。シダ状結晶の成長速度に戻りました。
 雪の成長速度は、結晶表面の水分子が固化できる最高の速度で成長するはず。学生の頃、力学の先生に、
「長〜くて軽〜い剛体棒でテコを作れたら、時間差なしで通信出来ますね。」
と聞いたら、
「端に加えた力は音速で伝わるから、それは無い。」
と言われました。相転移現象でも、界面律速があるから、先端は結晶化時間で成長、拡散が間に合わない部分が置いていかれて放物面の側面部分になるのでしょう。
 横山・黒田の論文で、角板から広幅六花の出来始め辺りのシミュレーションがありましたが、それは界面律速がメインで、拡散が入ったモデルでした。
 他にも小林亮先生のフェーズフィールドのシミュレーションを、実際にパソコンでフォローしてみました。過冷却度的なものを最大にして、全部凍るようにすると、結晶は真ん丸に、ほぼ等速に成長していたと記憶しています。これは、本当の結晶とは違いますが、この系も相転移するのに時間がかかります。

 さて、テキストには成長速度と先端曲律の関係図が描いてあって、Ivantsovの成長速度を表面剛性で修正したような曲線と、σと書いてある直線が交差しています。いよいよ理論完成のくだりですな。
 文章を見たら、σは毛管長から作った無次元量となっています。毛管長!?
 成長の臨界半径とは違う毛管長!毛管長と言えば、親水性の細い管の中を水が上って行ったりとか、里芋の葉の上で水滴が転がったりとか、そういうイメージなのですが。板に挟んだオイルに空気を吹き込む系のモデルの流用なのかな?それとも、針結晶の根元から水溶液が伝って来て、結晶先端で蒸発して成長するやつ?

 それで、難しくてよくわからない導出があって、結果発表。
 シダ状結晶ができるには、表面剛性の異方性が必要!異方性が無いとシダ状結晶にはならない。どうたらこうたら。
 何ですと!?

 これ、私が、ドクター入試の時にやりたいですって発表してたやつ。シダ状結晶には異方性の有無が重要だから、異方性の無いビスカスフィンガーも勉強すべきだなと思ったのです。
 指導教授に見事に却下されて手詰まりになって、雪の結晶は諦めたのですが、意地を張って続けていればこの研究を見つけていたかも知れないです。

 残念!