魔女の小さな冒険

魔女のちいさな探検

ゆっくりゆっくり進みます。

理論にぴったり合う実験の理由

 また思い出話です(^^;

 学会で、実験の方が、樹状結晶の先端が、理論通りの放物線の形になる物質を探していたのですね。
 樹状結晶は、拡散律速でできる結晶の形です。この理論は、数学的に、拡散律速で一定速度で成長する結晶は、放物線の形になるというものです。実際の結晶は、表面張力とか、好きな成長方向とかあって、先っちょが歪んでいたり、角張っていたりします。更に、樹状の名の通り、小さな横枝がたくさん出てきます。

 質問魔だった私は、
「どうして理論と同じ形の結晶を探すのですか?」
と聞きました。そしたら、会場がざわついてしまいました。当然の前提だったようです。

 その時、多分古川先生だったと思うのですが、とても親切に、
「理論だけではわかっているとは言えません。実験でも検証すべきです。」
的なお答えをいただきました。
 その時は軽いカルチャーショックでしたが、そういうものなのかと思いました。

 何か腑に落ちないものがあったのですが、今になって考えてみると、どちらもおかしかったのです。理論は分かりやすいので、私は安直にこの現象はもう理解されていると思っていました。そして、失礼ながら、この理論を検証するのに、理論通りの形の結晶を見付けると言うのも違います。
 実験と理論では条件が異なります。つまり、形状形成のメカニズムが違います。実験で理論と同じ形が出たら、理論だけ見てもメカニズムを決められないことを指摘したことになるのです。『コノ理論ハ、鵜呑ミニスベカラズ』てね。

 最近テレビでも、ハエか何かの昆虫の背中の毛の生え方が、化学反応モデルではなかったとかやっていました。沢山の毛の素の細胞が有って、数個が生き残って毛になるようです。同じ形でも、でき方は複数あるって事です。

 何であのときあんな質問を思い付いたのかわかりませんが、この質問は覚えていて良かったです。スッキリ(^-^)

==== 2016-11-01 17:49
ええ!? 学生の半分くらいが思ってそうな質問だと思うよ。暗黙の了解って分からないもの(^^; 皆さん礼儀正しいから、静かに聞いてるんじゃないかな?