魔女の小さな冒険

魔女のちいさな探検

ゆっくりゆっくり進みます。

上羽牧夫先生の結晶成長の本(続)

 雪の結晶って、見ていると骸晶と樹状結晶の中間くらいってイメージなのですよね。

 さて、上羽牧夫先生の『結晶成長のしくみを探る その物理的基礎』数式を飛ばしてはわからないので、読みなおしました。途中まで(^^;

 私のなかで上羽先生と言えば、ステップのダイナミクスです。この本にも丁寧に解説してあります。
 ステップダイナミクスは結晶成長のモデルの一つで、気体から結晶表面に吸着した原子が、ステップまで転がってきて結晶化し、ステップが前進していくモデルです。ステップ上段のテラスの吸着原子がステップで落ちて結晶化するのか、ステップと同じ段のテラスの吸着原子がそのままステップにつくのかで、ステップの挙動が変わってきます。ざっくり考えると、広い面積の吸着原子を集めたステップは速く前進します。上段の吸着原子が落ちて成長するステップのモデルは、ステップの後ろにあるテラスが広いほどステップが速く進むので、進行方向のステップに追いついてくっつく、ステップバンチングを起こします。同段テラスの吸着原子で成長するステップは等間隔に並びます。

 ここで小林禎作先生の『雪の結晶はなぜ六角形なのか』の、巨大ステップバンチングを思い出したのです。ステップバンチングは上段の吸着原子がステップに落ちて来てできますが、巨大ステップバンチングの段はもはや小さな結晶面です。上段の吸着原子はステップを下りたところと言うより、結晶面の変わったところで結晶化します。雪の結晶全体に話を拡大すると、c面にくっついた水分子は結晶の端まで転がっていって、側面のエッジ付近で結晶化します。骸晶のモデルに拡張できそうです!って言うより、骸晶のモデルとしてありそうです(^-^)

 雪の結晶成長で、6角形の角板から花びらが出始める様子は、まず結晶の縁が非常に薄くなる所から始まるそうです。
 これも、骸晶と同じように表面拡散で説明できるかな?角板の縁付近のc面が十分平らで、この面に付いた水分子が縁まで転がって側面に付きます。雪の結晶の六花にはc面が裏表合わせて2面あるので、両方同時に成長すれば2枚貼り合わせみたいになります。片面の縁付近にステップが多いと、これが水分子を吸着してしまうので側面の成長は遅れて、反対側の花びらだけが伸びていきます。いい感じです(^-^)
 結晶の表裏で成長の速さに差が出るのは説明できそうですが、花びらが合弁から離弁に変化するのは、他の要素が必要ですね。雰囲気の水蒸気の拡散場?c面内の水分子の移動方向?
 雪の結晶の写真を見てみると、枝がぶつかりそうな部分では、後から伸びたらしき枝は先に伸びた枝にぶつかる手前で停止して、幅広くなったりしているので、空気中の水蒸気の分布が形を決めていると思われます。
 しかし、雪の落下速度は思いの外速かった(30cm/s)ので、拡散と言うよりも新鮮な風の当たり具合で、外周に多く水分子が供給されているのかもしれません。

 落下実験頑張ろうっと!じゃなくて、ちゃんと読もうっと(^-^)