魔女の小さな冒険

魔女のちいさな探検

ゆっくりゆっくり進みます。

ブラウン運動でかき混ぜる

 学生の時に、帯電コロイドの勉強をしました。
① コロイド粒子は、電離して、+の電荷。周りの水は、コロイド表面から電離したマイナスの電荷が一様に漂っています。コロイド粒子は、水の中を自由にブラウン運動します。ここまでが基本。

② 帯電コロイドの粒子数を増やしていくと、互いの斥力で結晶化します。

③ 条件によっては、結晶化して数十分で、結晶部分の中にスイスチーズのような穴が発生します。松岡秀樹先生のグループの実験です。

 学生の頃は、斥力で結晶化っておかしいじゃん!とか、穴が空くってことは、負電荷の動き、DLVOの理論違うじゃん!とか、穴の形良いなあとかくらいしか思い当たらなかったので、ゴリゴリMDやるしかないな、私には無理だなと思っていました。

 今思い出してみると、この系は、①のとき、コロイド粒子がブラウン運動で、周囲の負電荷をかき混ぜて『溶かして』いたのだと思います。塩と水を容器に瓶に入れて振ったら、塩は一定量しか溶けませんが、水と油だと振っている間は混ざって見えますね。こんな感じで、かき混ぜられた負電荷が一様に分布する。②帯電コロイドが結晶化すると、負電荷は静的分布に変わる。すると、③正負の電荷が分布領域を狭めて、エネルギーを下げる。

 コロイド粒子のかき混ぜが終わると、コロイド結晶の帯電コロイド粒子は、負電荷を介して引力に変わるのです!(私の想像。)負電荷は、DLVOで想定されるほど小さくなかったのです!

 そしたら、ゴリゴリMDじゃなくても、何かやりようがありそうです。コロイド粒子のかき混ぜ効果?・・・思い付きませんが(^^;

 これを調べている当時、緊急避難させていただいていた先の、関本先生が、入浴剤のおもしろい物があるって教えてくれたのですよね。3層に分かれた物です。何がおもしろいのかと聞いたら、2層は見たことあるけど、3層はないと言っていました。調べてみたら、液体の分離は、水と油という説明ではありませんでした。液体の分離は分子の分極率で決まります。じゃあ、3層分離もアリなんだな、と満足しました。この入浴剤は、シャカシャカ振ってしばらくするとまた分離するのですが、分離過程がプチプチしておもしろいものです。しかも、二つの界面で、分離状態に戻る速さが違います。
 おもちゃとしては素晴らしかったのですが、今思い出すと、コロイドの系の負電荷と、この入浴剤の振ると混合、止めると相分離って辺りが似ているねって話だったとしたら、物凄〜くもったいなかったです。

 負け犬の遠吠え。アオ〜ン!!